前稿で,Igorで行列計算をする方法について述べた。
本稿では,その例題として,ジョーンズ行列を用いた,波長板による偏光の計算を行う。
ジョーンズ行列は,光学系の偏光状態を計算するのに用いられる。

直線偏光を表すジョーンズベクトルは,

左円偏光を表すジョーンズベクトルは,

右円偏光を表すジョーンズベクトルは,

のように表される。

偏光状態を変化させる光学素子として,波長板がある。波長板は,速軸(Fast axis)と遅延軸(Slow axis)を有する素子である。波長板は,それを透過した光の遅延軸成分が速軸に対して,位相がΓ遅れる性質を持っている。
この波長板のジョーンズマトリックスTは,

で表される。

Γ=π/2のとき,1/4波長板と呼ばれる。
直線偏光J1 (1;1)を左円偏光J2 (1;-j)に転換し,右円偏光J3 (1;j)を直線偏光J1 (1;1)に転換する。

Γ=πのとき,1/2波長板と呼ばれる。
直線偏光J1 (1;1)を直線偏光J4 (1;-1)に転換し,右円偏光J3 (1;j)を左円偏光J2 (1;-j)に転換する。

1/4波長板と1/2波長板の例

1/4波長板と1/2波長板の例

1/4波長板と1/2波長板の計算をIgorで行ってみた。

1/4波長板のジョーンズ行列をT1,1/2波長板のジョーンズ行列をT2とすると,それぞれ,

となる。

1/4波長板に直線偏光J1を入射すると,左円偏光J2になる。

1/2波長板に右円偏光J3を入射すると,左円偏光J2になる。

以上をIgorで計算すると,以下のようになる。

//ジョーンズ行列

Make /N=(2,2) /C T1,T2
Make /N=2 /C J1,J3
variable theta1=pi/2 //1/4波長板
variable theta2=pi //1/2波長板
J1={1,1}
J3={1,cmplx(0,1)}
T1[][0]={1,0}
T1[][1]={0,cmplx(cos(theta1),-sin(theta1))}
T2[][0]={1,0}
T2[][1]={0,cmplx(cos(theta2),-sin(theta2))}
MatrixOp /O J2=T1 x J1
MatrixOp /O J2_=T2 x J3
appendtotable T1,T2,J2,J2_

実行例は下図。

Igorでジョーンズ行列計算

Igorでジョーンズ行列計算

広告